Lesson5-3 色の心理的な効果 明度

まったく同じものであっても、色が異なると大きさ・重さ・硬さが違うように感じることがあります。

これは「色の三属性」のうちでも「明度」の違いによるものです。

このセクションでは、「膨張色・収縮色」、「重量感」、「硬さの印象」について、それぞれ学んでいきましょう。

膨張色・収縮色

明度が高い色である「白色」と明度が低い色である「黒色」を比べてみましょう。

画像は、どちらも同じサイズのシャツです。
違うのはシャツの色だけですが、白色と黒色ではどちらが大きく見えるでしょうか。

不思議なことに、「白いシャツ」の方が、大きく感じるかと思います。

このように、明度が高い色ほど大きく見えることは「膨張色」の影響、
明度が低い色ほど小さく見えるのは「収縮色」の影響なのです。

膨張色と収縮色の知識は、とくに洋服の着痩せ効果に関係しています。

スッキリとした印象を見た人に感じてほしいときには、膨張色を避けて収縮色を選ぶように心がけましょう。

硬さの印象

それでは、硬さについてはどうでしょうか。画像では分かりやすいように三種類の色を用意してみました。

「白色」、「灰色」、「黒色」では、どのタオルが硬い・柔らかいと感じるでしょうか。

白いタオルほど柔らかい黒いタオルほど硬いと感じたのではないでしょうか。

イメージとして分かりやすいのが柔軟剤のコマーシャルです。

柔軟剤で洗濯物がふわふわになったと表現するために、白いタオルや白いシャツが使われます。
これは、白色による柔らかさを表現しているのです。

私たちは、明度が高い色ほど「柔らかい」明度が低い色ほど「硬い」と感じます。

これを利用すると、伝えたい情報をターゲットに伝えやすい演出が行なえるようになるのです。

重量感

それでは、このような場合はどうでしょうか。

画像の、黒色、灰色、白色のボトルはどれも同じサイズです。
中にどんな物が入っているのか、想像してみましょう。

あなたがこのボトルを手に取ったときに、軽く感じるボトル、もしくは重く感じるボトルのはどの色でしょうか。

白い色ほど軽い黒い色ほど重いと感じたのではないでしょうか。

イメージとしては、ジムに置いてあるダンベルなどの設備です。
黒っぽい色が多く使われていることに気がつくでしょうか。

逆に、引っ越しで使う段ボールには、白い色が多く使われています。

これは一般的に、白色は軽く、黒色は重く感じるためです。

明度が高いほど「軽く」明度が低いほど「重く」感じるという特徴があることを知っておきましょう。


このページでは、「色の心理的な効果 明度」について学びました。

このように、「大きさ」、「硬さ」、「重さ」については「明度」の差で感じ方が異なります。

これらの特徴を知り、さまざまな場面において使いこなせるようになると物のイメージを伝えやすくなることでしょう。

よく分からなかった方は、今回使用した画像を頭でいつでも思い浮かべるように練習してみましょう。

日常に溢れているコマーシャルや広告などの媒体を色で考えてみるのも、よいトレーニングになります。

明度が高いとどうなるのかを、イメージしながら理解するまでしっかり復習を繰り返しましょう。

それでは次のセクションでは、「色の心理的な効果 彩度」について引き続き学んでいきます。